１９８７年、法政大学に入学した横道世之介は、長崎から上京し東京での新生活をはじめる。入学式で知り合い、友人になった倉持と一緒にサンバ研究会に入部した世之介は、年上のモデルの片瀬千春と出会って彼女に憧れるのだが・・・。

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　２００８年日本映画。監督は『南極料理人』の沖田修一。出演は、『ボックス！』の高良健吾、『ロボジー』の吉高由里子、『ふくろう』の伊藤歩など。吉田修一さんのベストセラー小説の映画化。ごくごく普通の人だが、独特の魅力のある横道世之介の学生生活と友人や恋人とのつながりを描いた人間ドラマ。

　主演の高良健吾さん、吉高由里子さんは、人気、実力共に日本映画界を代表する名優ですが、その他にも実力派俳優の綾野剛さん、池松壮亮さんなどが出演。これ以上は無い！というほど素晴らしいキャスティングで個性的なキャラクターの魅力も際立ちます。８０年代を舞台にしているので、当時ファッションなども忠実に再現されていてバブル期の日本を経験している方にとっては、かなり懐かしい風景を楽しめるというのも見所の一つです。物語の中心になるのは、お人よしで純真無垢、どこか憎めないキャラクターの横道世之介の人間的な魅力なんですが、恋人役として登場する与謝野祥子を演じる吉高由里子さんの存在感も凄いです。世間知らずでマイペースなお嬢様役ですが、天真爛漫な明るいキャラクターから難民の密入国事件を目撃して人間として成長してからの大人になったキャラクターまで自然な演技で観客を魅了してくれます。ほのぼのとした日常生活を中心に描きながらも、友人の予期せぬ妊娠、大学の中退などシリアスなドラマや純愛も描かれていてコメディ色の強い作品ながら感動作としても楽しめます。１４０分と長い作品ですが、物語の面白さに引き込まれてしまい長さを感じないで最後まで楽しめると思います。人間ドラマとしてもコメディ作品としても楽しめる名作です。１９８０年代の風景、ファッションなどは忠実に再現されていますが、若い世代にとっては、あまり意味が無いかもしれません。

　吉高由里子さんの笑顔が最高に心地よい作品なので、彼女のファンなら絶対に必見の作品です。無邪気で天真爛漫なキャラクターなので本当にいい笑顔を見せてくれます。もう単純に、気分が落ち込んでしまった時に、明るい笑顔を見て元気になりたいという理由で鑑賞するのもアリだと思います。はじめてのデートで爆笑するシーン、夜の海でのデート、二人きりでのクリスマス、祥子に告白するシーンなど、とにかく恋愛映画として印象に残る名場面の多い作品ですが、それらの全てが吉高由里子さんの明るいキャラクターによって魅力的な映像になっています。特に印象的なのは、世之介にはじめて告白されるシーンで、動揺してカーテンの中に隠れてしまうシーンですが、好きな人の前で動揺すると、混乱して突然挙動不審になってしま事ってありますよね。そういう動揺した感じがうまく表現されていて可愛らしさがたまらない名場面です。奥手で女性に対して積極的な行動を取れない方にとっては、本作で吉高由里子さんが演じている祥子のキャラクターは理想的なタイプかもしれませんね。私の友人にも奥手な人が多いですが、女性の方から積極的にアプローチしてくれた方がいいと感じている人も多いみたいです。

小説家はみんな自殺するから・・・

　芥川龍之介とか太宰治とか、天才小説家は人生に絶望して自殺してしまうパターンが多いですね。作家に限らず芸術家は繊細な感性を持っているので死生観が悲観的になって自ら死を選んでしまう人も多いですね。まぁ、みんなというわけではありませんが。

自分がいかに・・・

　この後に言葉は大体ネガティブな言葉が続くでしょう。傲慢とか、浅はかとか、世間知らずとか・・・。自分より優れた人に出会ったり、自分より厳しい環境の中で生きている人に出会ったりすると、自分の未熟さだったり、いかに自分が恵まれた環境で甘やかされて生きてきたかを実感して自己嫌悪に陥ったりすることがあると思います。でも、そういう機会を何度も経験して人間は成長していくんでしょうね。

出会えた事が、自分にとって一番の幸せ

　最愛の人と出合った喜びこそが、人間にとって一番の幸せはかもしれません。あぁ、この人に出会えて本当に良かった、と思える人が身近にいるなら、その人は幸せですよ。

世之介、祥子、

　入院した祥子に世之輔が会いに行くシーン。お互いの名前を何度呼び合う場面に二人の愛情がよく表されています。ラブシーンの名場面が多い作品ですが、一番泣けるシーンです。

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