草木が枯れて、空気が冷たくなって
季節は巡って何度目かの冬
その日は、朝からこの冬一番の冷え込み
肌寒さに、震えながら朝の空気を取り込む為に、玄関の扉を開く
目に飛び込んで来たのは一面の白
「……雪?」
いつもの年よりほんの少し早い雪の訪れに目を見張るセリスの視界をひらひらと粉雪が舞い落ちる
「通りで寒いと思った」
空を覆った雪雲の上から太陽の光が微かにこぼれ落ちてくる
扉の外から続く真っ白な地面
セリスはそっとしゃがみ込み、雪を掬い上げる
さらさらとした冷たい感触
ぎゅっ、と力を入れて握ると崩れる事無く固まった
セリスの口元に小さく浮かぶ微笑み
ロックに持っていったら驚くかな?
セリスは戸口にしゃがみ込み、足下の雪を丸く丸めた
ほんのり明るい部屋の中
ベッドの上でぐっすりとロックが眠っている
そっと忍び足で近づいて
……どこに置こう?
小さな雪だるまを手に考える
枕もとだと溶けてしまうから……
結局のばした手はロックの額
慎重に、手を伸ばして
雪だるまを置くと同時に素早く離れる
ほんの一瞬の間
「うわっっ!」
悲鳴と共にロックが飛び起きる
慌ててるロックの膝の上に転がり落ちる雪だるま
まじまじと雪だるまを見つめるロックの顔
思わず吹き出したセリスの笑い声が部屋の中に響いた |