時を過ごし、世界が変わり
新しく知った感情
想いをあなたに……

傷痕を癒し始めた世界は
少しずつかつての姿を取り戻している
自然や習慣、そして行事
様々な知らない事を知って、極当たり前の生活を重ねて
それなりの歳月が過ぎた
私が知った行事の中で、忘れたく無い行事
今年もその日が近づいている
何処か浮き立つ気分で道を歩く
あちこちで見られる女達の内緒話
男達には秘密の相談事
私も、皆と同じ様に村の片隅で話に興じる
今年の予定
去年の話
時折、昔の話を聞きながら
どこか熱に浮かれた時間を過ごす
そして、終わりに交わす言葉は1つ
“それで今年はどうするの?”
上手く誤魔化したり
そっと耳打ちしたり
返事は様々
―――私はどうしよう?
同じように問いかけられて
何も決めていない私は言葉に詰まる
伝えたい想いは1つ
日頃、私からは伝える事のない感情
だから年に数回、行事に紛れて伝えている
今年も、今回も忘れずに伝えたい心
私は彼と違って言葉にしないから………
「………考えて見たら……」
ふと思い当たった事が1つ
言葉にしない私の感情
それはきっと、言わなくても伝わっているけれど………

恥ずかしさやとまどいは感じるけれどたまには……

何処か浮き足だった街の賑わい
そこかしこに見える幸せそうな人々
私もその中の1人に成るために
今、言葉を伝える

「ロック……」
改めて呼ぶ名前に声が震える
自分で思い出す事も出来ない程
言った覚えのない言葉
震える声で、そっと囁く
――――――
あなたは嬉しそうに私を抱きしめた

 
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