空気が冷たい
澄み切った空の向こうに星の輝きが見える
吐息が白く染まる
遠くから聞こえる足音
顔を向けた先に待ち人の姿が見える
口元が笑みを刻んだ
ふわりと、肩に触れる暖かい感触
「こんな所で何をして居るんだ」
間近で聞こえた不機嫌そうな声と
肩に乗せられた温もり
うつむいた視界の中に映る、柔らかく暖かなブランケット
わざわざ持ってきてくれたんだ
口元をほころばせて振り返る
呆れたような顔の中に心配そうな視線が見える
「綺麗でしょ?」
右手の指先は、空へと向ける
蒼く透明な空に浮かぶ無数の星達
無数の星達の中に浮かぶ、生命の煌めき
「ああ、綺麗だな」
私の手を辿り空を見上げた眼が細められる
しばらく同じように空を見つめる
「………そろそろ戻るぞ」
冷え込んで来たの言葉に、私はようやく我に返る
「あ、そうね」
ほんの一瞬触れた手が冷たい
私は慌てて手を取り、家路へと急ぐ
慌てる私とは裏腹に、手を引かれる彼の歩みは少しゆっくりで
いつの間にか身体を引き寄せられる様にして、足並みを揃えてゆっくりと隣を歩いている
何となく二人で空を見上げながら、家路に向かった
「それで、どうしたんだ?」
「きれいな星空に誘われたの」
ふと窓の外へと向けた視線
見慣れているはずの空がとても綺麗に見えたそんな夜の話
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