ぼんやりとした、弱い日差し
暗い色に染まった大地
空を覆う暑い雲の下、暗く陰った夕暮れ時
開け放った窓から香る雨の匂い
辺りから聞こえる鈴虫の声
「………夏、だよな?」
秋の訪れが近づいている
さらりとした布の感触
涼やかな風が布地を揺らす
………気持ちいい
さらりとした涼やかな風が肌を撫でる感覚
「涼しいよなぁ〜」
幸せそうな呟き
“ゴロゴロ”
遠く雷鳴が聞こえる
空が一段とかげりを帯びる
突如降り出す大粒の雨
室内へと降り注ぐ横殴りの雨
慌てて、閉めた窓の内側に出現した水跡
「………そりゃ、無いだろう」
締め切った部屋の中に、じわじわと熱が篭もり始めた
 
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