色とりどりの花が並ぶ店先
綺麗な花、可憐な花
色とりどりに咲き誇る花々に目を奪われて
店先に立ちつくしたまま、一時間
花の好きな彼女なら
きっとどんな花でも喜んでくれる
けれど、だけど……
視線は様々に花の上を彷徨う
どれが一番彼女にふさわしいだろう?

それ程広くも無い店内を何度も彷徨い歩いて
片隅の鉢植えが、ふと目にとまった
贈り物にするには変わっていると
自分でもそう思って
一度はそのそばを離れた
それでも、淡く白い花の姿が脳裏を離れない
仕方ないよな
苦笑いを浮かべながら、鉢植えを1つ買い求めた

贈り物用にリボンで飾られた鉢植え
両手に大切に抱えながら、夜道を急ぐ
柔らかな笑みを浮かべラグナは、玄関の前へと立った
塞がった両手を理由に、ベルを鳴らす
間を置いて近づいてくる人の気配
脳裏に浮かぶのは
呆れたような顔
それでもきっと、大切に受け取ってくれるだろう
そして、扉が開いた

両手に抱えられた大きな鉢植えに咲く
淡く小さな桃の花
呆れた用に花を受け取り、やさしく笑い掛ける
凛と咲く柔らかな花が、レインに似ていると思った

 
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