Laguna
喜んでくれる事を期待して、商品手に取る
在る意味見慣れた品々
無骨な印象
不穏な気配
明るく彩られた店内は、ちぐはぐな印象を与える
壁のあちらこちらに展示されたレプリカ
厳重な鍵の中に仕舞い込まれた商品の数々
無機質な鋼の数々は
持つのに相応しい様で
どれも相応しくない
何を贈れば喜んでくれるのか、大事な事は一つも解っちゃいない
好きな物を教えられはしても、趣味に合うのか解らない
結局無難なものを選んで
どうしようも無い愚かさに気付かされる
「贈り物にはふさわしくないよな」
自嘲混じりの歪んだ言葉が零れた
金属ケース手に家路を急ぐ
プレゼントの中身は実用的とは言えないナイフ
喜ぶかもしれないが、実用的なものは使わせたく無かった
少しは、スコールの足しになるだろう
渡したら、どんな顔をするだろうか?
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Squall
渡すつもりは無かった、選ぶつもりだって当然無かった
けれど引き寄せられるように足が動いて
気が付けば品物を見つめていた
普段は立ち寄らないような場所
使ったことの無い品々
見かけたこと位はある品物
解らない物が多すぎて、とまどいが強く成る
贈る津物は無いのだから
別に選ぶ必要な何て無い
そのつもりなのに、手が商品を掴む目が品定めを始める
渡さなかったら煩いから
いつまでもしつこく要求するから
心の奥で言い訳をして、幾つもの商品をより分ける
「なんで俺がこんな事を………」
つぶやいた言葉はどこか楽しげだった
革張りのケース手に家路を急ぐ
プレゼントの中身はペーパーナイフ
必要のないものかもしれないが
もしかしたら使うかも知れない
渡したら、子供の様に喜ぶだろう
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