日も暮れた野外に人の姿は見えない
窓から漏れ出る灯りと、微かに照らす月明かり
弱い灯りの下に照らされる外の景色を見つめる
淡い光の中には、人どころか生き物の姿さえも見えない
無意識にため息が零れる
こんな時期には、この辺りでは日が暮れるまで仕事をする者は居ない
―――それは、したくとも出来ないから
そうでは無くともこんな日には、外に出る人だって少ない
―――望んで出かけたわけではなく、仕事で仕方なく出かけたのだけれど
青白い灯りが丘の麓を照らしている
今日には必ず帰る、そういって出かけたのは3日前
いつ頃になるのかは言わなかった
―――いつ頃帰れるのかなんて、見当も付かないはず
朝は、こんなに早くは戻らないと思って
―――もしかしたらと思って、気にしていたけれど
昼には、そろそろ戻るかも知れないと思って
―――何をしていても、いつのまにか窓の外を見ていた
そして日が暮れて………
―――もうそろそろ戻るはず
窓の外にはまだ人影は見えない
動かした視線の先に時計が見える
―――全然時間は動いていない
もう一度、今度は私自身に向かってため息をつく
「今の内に出来る事だけでもしておこう」
そう呟いて、ようやく窓辺を離れる
広くは無い家のあちこちへと灯りを灯す
私以外の人の気配のない家は何故か寂しい
にぎやかな人が居ないから
―――それだけが理由では無いけれど………
背を向けた窓の向こうに、急ぎ足で歩く人影が見える
家の手前で足を止めて、優しい笑みを浮かべる
柔らかな灯りに照らされて、
彼が扉を開けるのと
帰ってきたことに気が付いたのは
ほぼ同時の事