窓の外から光が差し込んでくる
暖かい春の日射しに、特等席でまどろむ
心地よい眠りに身を任せれば、太陽の香りが身体にまとわりつく
微かに聞こえる、人の声
近づいてくる足音
眠りに身を任せながら
小さく耳が動く
近づいてきた足音が、間近で止まる
「……………」
大きな気配が、近くに座り込む
反射的に震える身体に触れる掌
太陽の暖かさと、毛皮の感触を楽しむように
ゆっくりと背中を撫でる感触
大きなあくびを一つ
起きあがり、のびをして
眠りの邪魔をした人間を見上げる
笑顔で、少し乱暴に頭を撫でる手
悪いと思っていない、その態度にむっとして
無遠慮に触れてくる手を爪でひっかく
「……っ」
慌てて、離れる手に満足して、かき回された毛並みをゆっくりと整える
頭上から吹き付ける風
整えたばかりの毛並みが、また乱される
むっとして、睨みあげると、二つの目がじっと見つめている
思わずひるんだ隙に、軽々と身体が持ち上げられる
逃れようとして、身体をひねっても、全く動かない
「………ミャー」
降参の声を上げると、身体が膝の上に降ろされる
少し不機嫌にうずくまる身体を、掌が撫でる
さっきと同じように暖かい光が差し込んでいる
大きなあくびを一つして
誘われるまま、眠りの中へ潜り込んでいった
END
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