繰り返される日常
ある日
『仲良くしろよ』
の声と共に、目の前に差し出された一匹の子猫
不思議そうにのぞき込んだ視線の先で、毛を逆立てて威嚇する姿に興味を覚えて、手を伸ばすと
鋭い爪で引っかかれた
慌てて手を引っ込めると、頭上から楽しそうな笑い声
目の前の子猫が持ち上げられる
『おびえなくても大丈夫だぞ?』
そういった顔を悪戯っぽく笑って………
慌てて、伸ばした手の上に子猫が落ちてきた
『ほら』
気楽そうな頭上の声の主を睨みあげ
呆然としている子猫を必死で宥めた

夕暮れ時、どこかに出かけていた猫が戻ってくる
「今日も寒くなるんだって」
何かを期待する様に丸い目で見上げる
その目に負けて、ゆっくりと頭を持ち上げる
腕の間に潜り込んでくる身体
「……………今日はいったい何をしたんだい?」
「したんじゃなくて、されたの」
身体の下から機嫌の悪そうな声が響く
「……そう……」
不機嫌そうなその様子に、話を続けるのを止める

やがて
軽い足音が近づいてくる
『………やっぱりここに居たか』
笑い声の混じった声
「クゥーン」
隣に座った人を見上げ、一声抗議する
手が伸びてきて、少し乱暴に頭を撫でる
バツの悪そうな様子にため息を一つ
諦めて目を閉じた、身体の下で、小さな猫が幸せそうに寝返りを一つした
 
 

 
END