破壊衝動
 
 
どうしようも無く気が立つ時がある
理由がある訳では無く、原因があるわけでも無い
ただ、何かを告げる様に神経がざわめく
時折訪れるそんな日

理由もなく、全てを壊してしまいたくなる
整然と並んだ街路樹や
優美に飾られた建物
親しげに語りかけてくる友人も
幸そうに笑う人の笑顔も
何もかもを粉々に壊してしまいたくなる
破壊衝動に身を任せてしまえば、全てを失う事になる
得られるのは、一瞬だけの快感
身を任せてしまえば、後に残るのは後悔
全てを壊そうとするその感覚に身を委ねかける自分をどこかに残った理性が止める
だから、こんな日は身を隠す

誰も知らない場所
何も無い深い暗闇の中
身を潜め、衝動を押さえ込む
全てを失わない為に
衝動が消え去るまでそっと身を潜める

誰にも告げず姿を消すのは
そんな破壊衝動に襲われた日の事

 


幸福な世界を目にして、ふと抱く殺意
どうしようも無い感覚をもてあまして、身隠す………
……誰の事かはあえて言わない方向で