うとうとと微睡むラグナの耳に
ゆっくりしたリズムで、近づく足音が聞こえる
覚醒しかけた彼のすぐ側で立ち止まる足音
そっと、近づいてくる気配
そして、同じリズムで足音が遠ざかっていく
少し残念な気分を感じながら
柔らかな日差しと温もりに意識が眠りの中に吸い込まれていった
柔らかな感触が、身体に触れる
少しずつ浮上する意識
「……ラグナ、ラグナ!」
すぐ耳元で聞こえる声
ゆっくりと開けた目に、ジュリアの姿が映し出される
「………ん?」
腕の中に有る小さな温もり
「少し手を緩めてあげて?」
降ろした視線の先に
腕の中に最愛の息子が潜り込んだのか
ぱたぱたと何度も胸を叩く小さな手
「おおっ!?」
ラグナは抱きしめていた手を慌てて離す
大袈裟に息をつく姿に笑いが零れる
平穏な初夏の一日