もう一つの世界
 
 
 
ラグナは、ゆっくりと目を開いた
「起きた?」
静かな女性の声がラグナの意識を覚醒させる
「あ、あれ?俺、寝てた?」
「ええ、幸せそうに寝ていたわ」
静かな微笑み
そっか………
ラグナは、困ったように頭をかく
「ねえ、どんな夢を見ていたの?」
「え?夢の内容?」
そういえばどんな夢をみてたっけ?
「そう、とっても幸せそうだったから、どんな夢だったのかって」
うーん……幸せ………あ……
「思い出した?」
「あ、うん、思い出したけど……笑わないか?」
ほんの少し驚いたように目を見張る
「ええ、笑ったりしないわ、だから……」
優しい、穏やかな声
照れた様な顔をして、
「あのさ、息子と遊んでる夢だったんだ……」
小さな声で告白する
「息子?ラグナは、男の子が良いの?」
目の奥に覗く微かな表情にラグナは気づかない
「いや、別にそういう事じゃないんけど……、女の子だって、可愛いよなぁ?」
ラグナは、幸せそうに微笑んで見せる
そう、彼女に似た子供が産まれるならばどんなに嬉しいだろう?
「そうね、どっちが産まれたとしてもきっと賑やかになるわね」
じっと、眼を見て微笑む
「………え?」
穏やかでいて、深い意志を秘めた眼
ラグナの手が、彼女の腹部へと導かれる
楽しそうに笑い掛ける瞳
「ほんとに?」
静かに頷かれる
「………夢みたいだ……」
呆然と呟くラグナの声を聞き、楽しそうに笑い声が上がる
「ふふ、驚くと必ず言うのね」
?なにが?
「夢みたいだ、って……私と初めて話をしたときも、私との結婚が決まった時も」
楽しそうに笑い、ジュリアは、ラグナの手をつねる
「ね?夢じゃないでしょ?」
昔と変わらない言葉、笑顔
二人で顔を見合わせ、声を上げて笑う
「名前考えないとな……」
ラグナは、ジュリアを抱き締め、小さく呟く
「そうね…………ねえ、夢の中ではなんて呼んでいたの?」
夢の中で?
思い出そうとするが、何も思い出せない
「……あ、あれ?」
「忘れちゃった?」
「……そうみてー……」
「夢の中だものね……」
ジュリアの声にラグナは黙ったまま頷く
夢の中の事、忘れても仕方の無いこと……
なのに、気になるのはなんだだろうな?
すっきりしない気分も、心の奥底の戸惑いも、時間と共に消えていった
 
 


絶対に表にはおけない話です(^^;;)
もしも〜ねバージョンで
ラグナがレインと出会う事なく、ジュリアと結婚していた場合
一度書いて見たいものだったんですよね………
きっと、すべての出来事が違う物になる世界のはずです