音楽が聞こえる
ピアノの音じゃないいくつもの楽器の音
いつもとは違う音色に
―――ジュリアの音じゃない
思い浮かぶ言葉
ゆっくりと意識が浮上する
目覚めた耳に聞こえたのは近くに置かれたラジオの音
いつも、共に目覚める迄側にいる筈のジュリアの姿が無い
仕事じゃ無いよな?
ラグナが知っている限り、年が明けてからしばらくの間は何も仕事は入っていない筈だった
変だな?
ゆっくりと移動した視線の先に、居るべき筈の人が居ない
1、2度ゆっくりと瞬きをして
弾かれたように飛び起きる
一緒に眠っている筈の子供の姿が無い
ベッドから飛び降り、ラグナは辺りを探す
改めて見た室内のどこにも2人の姿はない
どこに行ったんだ?
ラグナは家中を2人の姿を探し始めた

家の中に変わった様子は無い
強盗が入ったとか、誘拐されたとかそう言った様子はとりあえず見つけられない
そのついでに、ジュリアが残したメモの1つも見あたらない
緊急の仕事って訳でもないみたいだよな?
例え緊急の仕事だったとしても、ラグナに一言も告げずに出かけた事は今までに一度もない
いったいどうしたっていうんだ?
今まで一度も無かった事にラグナは戸惑いながら着替える
それとも、俺が何かしたか?
理由もわからないまま家の中をさんざん探し回って、慌てながら開いた玄関の扉の外に荷物を抱えたジュリアの姿があった
ラグナの姿を認め、華やかな笑顔を浮かべる
あっという間に至近距離まで近づいてきて
「誕生日おめでとう」
優しい口づけが降りてきた
へ?誕生日?
慌ててそらした視線の中に飛び込んで来たのはカレンダーの日付
かかれている数字を認識するのとほぼ同時に
「おめでとー」
高い声とともに小さな身体が体当たりしてきた

―――誕生日だから、驚かせようと思ったの
内緒でお祝いの用意をして、準備を進めて
材料が足りない事に気が付いた
買い物へ出かけた先はごく近所
家の中にいなかった時間は短かったのに、たまたまその時間に目を覚ましただけ
タイミングの悪さに笑い合って

1月3日
いつもと違う光景に慌てた日
快い驚きに満ちた誕生日

 
 
06ラグナ誕生日企画のさい、不意に書きたくなったジュリアサイド
どうやって乗せるか悩んだ上で、少し面倒な形態に