夢
遠くで子供の声が聞こえた
鋭敏な反応を示し
彼は窓の外を見つめる
現実には無い音を彼方に聞きながら
彼は寂しげな笑みを浮かべる
とらわれた心は
現実を排除し、夢の世界へ誘われる
静まり返った部屋と、悲しみを称えた瞳
現実に引き戻す言葉は
誰も掛ける事が出来ない
二度と手に入れる事のない
幸せな時を見ている事を知っているから
哀れむ様に、悲しむ様に
そっと彼から視線が外される
現実へと連れ戻すコーヒーの香り
目の前に置かれたそれは、冷え切っている
静かに飲み干した味は
懐かしいそれとは違う
焦がれ続けた夢の時間は終わりを告げる
迎えている現実は
冷たく悲しい
すべては夢の出来事
遠くで子供の声が聞こえる
そして
子供を呼ぶ母親の声も
すべては遠い世界の出来事
自分には与えられなかった時間
小さな音を立てて、カップが机の上に置かれた
夢の終わり
彼は再び
悲しい現実を歩み出す
第2回アンケート回答者に対するささやかなお礼“幸福”と対をなす代物
前回同様、対にして読むと一層悲しさが増す………かもしれない
さて、今回はどれだけの人がここの存在に気付いたのだろう?