衝動
 
 
紙がめくられる微かな音
小声で交わされる会話
忙しそうに行き来する人々の足音
いつもと変わらないはずの仕事の風景

机の上に広げられた書類の数々に手を触れながら、そんな光景を見ていた
優秀な彼等のおかげで、業務は滞る事無く進んでいる
自分が手を出さなければならない仕事なんていうのは、実は、ほとんど無い
渡された書類に眼を通し、サインをしていく
示された内容に異を唱えるなんてことはめったにあるはずもなく
機械的に繰り返す、単純な作業
長い間椅子に座ったままの仕事ってのはやっぱり性に合わない
「……身体、動かしてぇ」
しみじみと呟いた言葉に隣にいた秘書官が小さく笑った

「相変わらず忙しそうだな」
忙しそうに動いていた彼等の背後でそう呟くと
彼等はものすごい勢いで振り返り
俺の姿を認めて、心底驚いたって感じで眼を見開いた
「なんでここにいるんですか!?」
「いつからここに!?」
似たような言葉を全く同じタイミングで言う
「驚いてくれたのは嬉しいんだけど、とりあえずその物騒な物しまって欲しいな」
条件反射なのか、彼等の手にはしっかり獲物が握られていて
そいつが、それぞれ俺に狙いを定めている
さすがに、この距離は危ないしな
慌てて武器を降ろす彼等を見ていた俺の後ろに、良く知った気配が現れる
「何しに来た?」
愛想の無い声、そして、肩口に感じる冷たい刃物の気配
「ちょっと息抜きにな……」
振り返った先に、思った通り一言では言い表しようが無いくらい複雑な表情をしたスコールの姿があった

人気のない裏庭、遠くで騒ぐ人の声が聞こえる
足元に落ちていた訓練用の剣を拾い上げる
「身体を動かさないと、息が詰まるんだよな」
潰された刃を指でなぞり
軽く構えた剣を振り降ろす
「煮詰まる前に息抜きをしようとおもったんだけどな」
振り返った先に、スコールと、なんとなくついてきたらしいその友人達が居る
「でもな、息抜きに付き合ってくれる奴もいねーし、それ以前に息抜きになんねーんだよなぁ」
ときどき、酷く身体を動かしたくなる
深く刻み込まれた本能のように
年に1度か2度、戦いの中に身を置きたく成る
強い相手と戦いたいという感情
……結局は退屈してるってだけなのかもしれないけどな

辺りに響く鋼の音
ぎこちなかった動きが、時を奥に連れ次第になめらかに動き出す
日の光を受けて輝く白刃の煌めき
幾度となく繰り出される攻撃
何度も繰り出す剣の動き
遠く視界の片隅に、あっけにとられた様にこちらを見つめる人の姿が見える
胸の奥に、心地よい高揚感と満足感が生まれていた
 
 

 


不意に訪れる衝動………の話をかこうと思ったんだ
けど失敗(^◇^;)
とりあえず悔しいからUPしてみる(待て)
近いうちに同じ題材でリベンジするかもぉ〜〜