夢が覚めて、朦朧としていた意識が戻って
不自由な状態で送った手紙
友人の安否を気遣いながら
ほんの少しだけ期待して
諦めかけていた一つの出来事
目が覚めて
そこにある姿に初めは夢を見ているんだと思って
声と感触に、どうやら現実らしいことに気が付いて
痛む身体を動かして悲鳴を上げる事になったけれど
お陰でどうやら、今の状況が現実だと認識できた
『夢みたいだ』
散々大騒ぎした後出てきた陳腐な言葉に
いつかと同じように、
『夢じゃないでしょ?』
泣き顔のまま彼女が答えた
今では売れっ子になっていた彼女はそのまま俺の側にいて
そうして療養の日々が続いて
笑える程順調な
―――医者に言わせると驚異的な回復力で
身体に負った傷が癒されていく
そうして、完治したとは言えないが動けるようになった頃
キロスのやつが漸く顔を出した
そして伝えられたデリングシティでの話題、噂に俺は慌てふためいて
もしかしたら今が絶好のチャンスなのかもしれないと、ふと思った
「そろそろこの村から移動しても良いよな?」
問いかけの言葉に、医者は大丈夫だと太鼓判を押す
「長いことお世話に成りました」
俺達の言葉に、素っ気ない返事が返される
キロスが車を取りに離れた所を狙って
俺は最後の勝負を挑む
「あのさ、ジュリア………」
みっともなく震える声と身体
そうして沈黙
それから………
友人の祝福の声と共に
俺達はデリングシティへと帰還した