指の動きが止まり、ピアノの音が止む
一呼吸置いて、拍手の音
柔らかな笑みを見せ、
床の上に座り込んだラグナの腕の中へ
ジュリアが椅子の上から滑り降りる
「どうかしら?」
覗き込むように、合わされる眼
ラグナの返事を聞く前に、ジュリアが嬉しそうに笑う
「良かった、気に入ってくれて」
「いや、確かにそうだけどよ……」
まだ何も言ってないぜ?
「眼を見れば判るわ」
あなたが考えてる事は、みんな眼に見えるもの
ジュリアの腕が、緩くラグナを抱きしめた
彼女の思いは音に
彼の思いはその瞳に
言葉以上の言葉を乗せて
心を語り合う
いつでもあの時と同じように
あの日、ピアノの音に乗せて語られた誓いを忘れぬように