冷気
ドアを開けたとたん感じる冷えた空気
寒々とした広い家
扉を開くと同時に感じる静けさ
外界の音さえもすべて遮断するかの様な静寂
生き物の気配一つ感じない場所
人が生活している気配の無い家
毎日繰り返される感覚は
未だ慣れる事のできない孤独感
毎日、扉を閉めたところで立ち止まり、家の中へと足を踏み入れるのを躊躇う
このまま、ここから逃げ出してしまいたい
毎夜、繰り返される葛藤
やがて、明かり1つ灯らない家の中を歩く
歩いてきた後に、点々と明かりが灯る
奧へと足を進める度に強くなる冷えた空気
「……ただいま」
受け止める人の居ない声がむなしく響く
煌々と照らす明かりが
寂しさと、寒さを際だたせる
人の居ない場所
誰も居ない家
静寂が耳に痛い
自分がたてた音が、当たりに響く
そして、虚無感に包まれる
窓の外へ目を向ければ見渡す限りの闇
闇の中に吸い込まれてしまいそうな錯覚
………吸い込んでくれれば良い
そうすれば、一人こんなところにいなくてもすむだろ?
たぶん、この場所があるかぎり、ここに帰ってくるかぎり、どんな楽しい事があった日も、孤独感におそわれるのだろう
それはここがこの世で一番寂しい場所だから
表の「温度」のいわば裏側の作
こっちのラグナは家に帰っても一人
誰も居ない寂しさと、孤独と
そして、悔恨を抱いています