孤独
 
 
 
ラグナは、ただ1人時計を見つめている
ゆっくりと針が動いていく
もうすぐ、日付は特別な日へと変わっていく
部屋の中では、物音が聞こえない
この家の中には、人の話し声も聞こえない
静寂の中で、ラグナはふと昔を思い出す
アレは遠い日の出来事
幸福だった日の事
たった一度だけの特別な時間

「はた迷惑な日ね」
そんな感想を漏らしたのは、レインだっただろうか?
そんな風に言いながらも、その日は夕食の時間ごちそうが並んでいた
その日の朝になって初めて告げた事柄だった
あの日は雪も酷く、買い物へむかうのも困難な日だった
不思議がるエルオーネにレインは
「お祝いなのよ」
と一言だけ告げて………
賑やかな一日

ふと、ラグナは現実へと引き戻される
日付が変わったことを時計が声高に告げる
小さく音を立てて、表示が切り替わる
1月3日
あの日からまた1年の時間が過ぎる
幸福だった日々が遠のいていく
出来ることならば―――
もう一度、特別な時間の訪れを
ラグナは、静かに祈りを捧げる
 
 


ラグナの誕生日の出来事です……
誕生日を迎えたことにより、また一つ年月を重ね………
そんな時の出来事