恋人達の日
華やかに彩られた街
浮き足だった恋人達
幸せな光景を見つめながら
耳をふさぎ、目を瞑る
今日この日が恋人達の日だと言うのなら
最愛の人を失った者はどうすれば良いのだろう?
笑いさざめく人々の声
楽しげに笑い合う声
顔を紅潮させた少女の顔
照れたような少年の顔
暗い部屋の中へと逃げ込む
同じ事があった訳じゃない
それでも……
きっとするだろう仕草、言うだろう言葉
あり得たはずの情景が思い浮かぶ
もう二度と手に入れられない瞬間
失ったつらさを思い出させるこんな日は
静寂の中に身を置いて
息を詰めて時が過ぎるのをまとう
どうか、これ以上心をかき乱さないで欲しい
レインを亡くしたばかりの頃のバレンタイン
副題をつけるとしたら“のろわしき日”ってところでしょうか?
息を潜めて過ごす一日です