未来
守る、その言葉を言われた時、私はとまどいと怒りを覚えた
剣を振るい続けた私を守ろうとすると言うこと
反逆罪で捕まった私は、人に守られなければならない程酷い状態だと言うこと
不可思議な感情に捕らわれながら、私はそう言いきった相手を見た
―――ロック―――
私を守ると言った彼の瞳には不可思議な感情が浮かんでいた
私は、差し出されたその手を取った
風が髪をゆらす
荒れ果てた大地が続く
髪をゆらす風も嫌な気配を纏っている
私は、右手に握った魔石に視線を落とした
魔石、フェニックス
彼が愛した女性の魂が宿る石
―――レイチェル―――
眠っているかの様に横たえられていた彼女の姿が目に浮かぶ
長い間時を止めていた女性
「あなたは、何を思っていたの?」
あの時、私は地下から聞こえる声を聞いた
絶望に彩られたロックの声
ほんの僅かの間蘇った彼女の言葉………
感謝の言葉、そして………
ずっと見守っていたのかもしれない
……きっと、ロックの事を見守っていたはず
過去との決別
『先に進めないから』
直後に語られたロックの言葉
どんな思いで見つめていたのだろう
ロックの事を、彼が、思い悩む姿を
そして彼の“守る”という言葉をどんな思いで聞いたのだろう
目を、閉じる
語りかける声は聞こえない、彼女の返事は返らない
弱い陽光、微かに届く波の音…………
―――決別―――
去りゆくモノ、新たに手に入れるモノ
今は、世界が変わろうとしている時
「私は、新しい時を手に入れる」
あなたの身代わりではなく、本物として新しい時を生きていく
私は守られるだけでは無いから
見守るだけではないから
開いた目に、瓦礫の塔が見える
ケフカ、私達が倒すべき相手
全ての生き物の未来を閉ざそうとする者
人類の為ではなく、私は、私の未来の為にあなたを倒しに行く
「セリス!」
掛けられた声に振り返る
真っ直ぐに見つめる眼差し
「行こう、ケフカを倒しに行こう」
誘いかける声、共に戦おうと誘う声
「いきましょう」
私はそう答えた
共に戦い、共に生きる為に
―――オレが守ってやる―――
過去の声が聞こえる
「油断するなよ」
現実の声
私には、共に戦い、未来を手に入れる力がある
新たな世界を手に入れる為に最後の戦いへ
END
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