炎暑の涼
空を見上げれば青空が続いていた
夏の晴れた空
涼やかな風でも吹けば、楽しい気分になれたのかもれないけれど
ゆったりと渡る風が暑かった…………
水辺に座り込み、熱を持った手足を冷やす
「……………暑いな」
ため息と共にロックは小さく呟いた
身体を汗が流れていく
セリスは洗濯物を片手に空を見上げた
「洗濯物は乾きそう……だけどね」
そんな風に呟く間にも、手に持った洗濯物が乾燥していくのが解る
「今日も暑くなりそうね」
視線の先で動かない雲に向かい、セリスは語りかけた
雨の降らない日が続いた夏のある日
人々は相談の上で、村の中に水を引くことを決めた
村のはずれにある池の周りに人々が集う
村人達が数年がかりで作った水辺
周囲に生い茂った木々が涼しげな木陰を生み出している
水の中で騒ぐ子供達の声
水の上を通過した風が涼しげな空気を運んでくる
池に向かう道の上で、セリスはロックと、偶然出会った
偶然に少し驚いて、そして、2人で笑い合う
「今日も暑いからな」
ロックの言葉にセリスは頷く
でも、他にも涼しいところはあるわよね?
心の中でセリスはそっと呟いた
暑い夏の日の小さな出来事
END
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