悲しい夢を見た
内容も覚えていない、夢
悲しいと感じたその感情だけが残っている
―――少し、気分転換でもするか
少し勢いをつけ、ベッドから降りる
すぐ近くで、眠る人の気配
部屋の中に微かに差し込む光
静かにカーテンを引き開ける
窓の外にまばゆい程の月明かり
―――明るいな
白く輝く月を見つめ
ロックは、静かに部屋を出た
微かな物音で目が覚めた
無意識に周囲の気配を探って
感じられない気配に慌てて起きる
カーテンの隙間から強く輝く月
―――?
めくれたままの上掛け
眠っていたはずの人がいない
窓の外から微かな音が聞こえる
静かにベッドを抜け出し窓辺へ近寄る
空には白く輝く月
―――ロック?
光の下で、月を見上げる姿
セリスは、大きく窓を開けた
空から降り注ぐのは
冴え冴えとした月明かり
肌に触れるのは夜の冷えた空気
お互いに声を掛ける事もないまま月を見上げる
やがて、東の空に生まれる光
強い光に月の姿が薄れていく
「綺麗な月だったな……」
吐息に紛れたロックの声
「……………そうね」
やがて消える月から視線を逸らす
2人はようやく視線を合わせた
そして、夜が明けた