捜し物
片隅に古びたカードがある
それは長い間忘れられていて
ようやく、人目に触れる事が出来た
……おかしいなぁ?
ラグナは、部屋中を探し回っていた
「この辺だとおもったんだけどなぁ?」
室内は、所狭しとばかりに本が置かれ、申し訳なさそうに置かれた作りつけの棚の上は、モデルガンや本物の武器が鎮座していた
ラグナは、その室内を先ほどから、ひっかきまわす様にして、探し物をしている
探した結果現れた空間は、すぐさま移動してきた荷物で埋まり……
一度探した場所を気づかないうちに再び探したりして
なかなか、作業がはかどらなかった
「………どの辺から、荷物置いたんだっけ?」
遠い昔の記憶を探る
………………………
………………………………………
「……っかんねーよなぁ〜?」
捜し物は、一番初めに持ち込んだ荷物の一つ
それは、あまりにも古い記憶で、しっかりと思い出すことができない
「そのまま置くはずはないしなぁ………」
使う事も出来ないというのに、貰ったり、引き取ったり、集められるだけ集めて
記憶が確かならば、箱に入れて保存していたはず
「使った事ないしな……」
あの当時はそんな余裕も無くて
余裕が出てきた時には、新しいものが出ていて、前のカードは、殆ど使えなかった
「そういや、あの時探し出したな」
使うつもりで取り出して、使えない(という訳でもなかったが)事が解って
あの後、どこに置いた?
元の場所に戻した記憶は、ない
と、すると、その辺に置いた……
だよな……きっと、そうしたよな……
ラグナは、ため息をついて、場所を移動した
「……今度、大掃除でもするかな……」
以前よりも余裕ができたし……
いつのまにか物置と化した部屋を見渡して、ラグナは大きくため息をついた
2、3日じゃ終わらないかもな……
「……見つかったぞ……」
ほこりにまみれたラグナが現れたのは、ずいぶん時間がたってからの事だった
「どこにあるのか解らなくなってさぁ〜」
なかなか探すのが大変だったんだ………
スコールは、ラグナの言葉を聞かずに渡された箱を開けた
小さな箱の中には古びたカードが詰まっている
「こういうのもレアっていうかな?」
……………別の意味でレアだな……
「………何年前の………」
…………聞きかけたスコールが口をつぐむ
「それ、ちょっと凄いだろ?」
「………ああ……」
スコールの手には、魔女“アデル”のカードが握られていた
今日もまた、新作が世に出る
カードの移り変わりは激しく、古いカードは、回収されて行く
昔のカードが残る事は滅多にない
END
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