風が、窓を叩く夜 窓の揺れる音が家の中に響き渡る 聞こえるはずの通りを歩く人の声、足音、物音が降り積もった雪に吸収されている 淡い月明かりの差し込む世界に満ちるのは静寂 静寂に満ちた世界に、陶器のふれあう音が響いた 飲み干したカップをサーバーへと戻し、雪明かりに照らされた、景色を眺める 眼下を歩み去る人の姿 街灯の灯りを反射した雪の粒子がきらきらと輝きながら舞い散る 耳をそばだてれば、静けさのなか踏みしめられた雪が“ぎゅ”っと小さな音を立てる 人影の見えない通りを一定のリズムを刻んで、雪を踏みしめる音が聞こえてくる 聞き覚えのあるリズムに、窓の外へと目を凝らす 雪明かりに浮かび上がった人影が、ゆっくりと近づいてくる ほのかに浮かび上がる人影 ゆっくりと近づく人影を確認し、口元に小さな笑みを浮かべ、彼は窓辺から離れた 踏みしめる雪が足の下で小さく音を立てる
雪の舞い散る夜
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