進路
卒業が近づくにつれ、多くなる書簡
そして、様々な条件を引き合いに訪れる訪問者達
ありとあらゆる所からの勧誘
望まずとも有名になってしまった故の出来事
友人達は、自分ほどひどくはなくとも、何れも似たようなものらしい
そんな状況の中でも彼等は着実に将来を決定して、勧誘がますますひどくなった
部屋に届いていたダイレクトメールを見る事もなく捨てる
最近身に付いてしまった日常
たまに必要なものも一緒に捨てている事も在るが、概ね中身を見る必要は無い
『それで、結局どうするつもりなの?』
先の事を決めていないのは俺一人だけ
だからなのか、卒業するまではまだまだ日数があるというのに、キスティスがそう聞いて来たのが昨日の事
『どうにかする』
至極真っ当な筈の答えを返したら、呆れたようにため息をついて、長い話が始まった
俺が何をしようとキスティスには関係の無い事
心配してくれているのかもしれないが、よけいなお世話だ
『勧誘をしてくる所に行くつもりはない』
キスティスの話を遮り、それだけは宣言した所で強引に話を終わらせた
将来の事は分からないが、何も考えていない訳じゃない
卒業してから……
近いうちに訪れる現実の先は、漠然とではあるが決めている
一度も勧誘の来ない所
一つだけ、全く何のアプローチも無い国が在る
それは、相手の立場と性格を考えると、至極当然
そして、スコールの置かれた状況を考えれば至極不自然
だから、エスタ以外の国々からのアプローチはうんざりするほど激しい
ラグナは、きっと気にしているだろう
そして、ラグナの周囲の人々も気にしている
だが、それは………
スコールは考えを振り払い、いつもの様にPCを作動させた
尚もしつこくなる勧誘と
諦めたのか二度と来る事の無い誘い
スコールに関係の無い所で、状況は両極端に分かれていた
どこにも連絡を取らないスコールの様子に、自然とガーデンの人々の間で噂が持ち上がる
曰く
バラムガーデンに残るつもりだ、と
在学生の間で、噂は急速に広まり
誰一人としてスコールに真実を確認する事もないまま、それが決定事項だと彼等は思いこんでいた
その日も、方々から届く誘い掛けを見る事もなく処分した
いつもと同じように画面を覗き
スコールはその日始めて、いつもとは違う事をした
とある機関にスコールからのメールが届いた
ほんの僅かな騒動と共に、その件は速やかに上層組織にに連絡され
そして
ラグナは、しばし唖然とした後、笑い出した
「らしいっていうか、なんていうか…………なぁ?」
バラムガーデンソツギョウゴノシンロキボウ
エスタダイガクヘノシンガク
モウシコミウケツケカイシチョクゴ、モウシコミカンリョウ
ヨクジツ、ジュリ
シケンニッテイガツゲラレタ
END
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