休暇


 
開いていた本を閉じる
大きく伸びをして肩を回す
気が付けば窓の外は薄闇が掛かり
室温も随分冷えている
久しぶりののんびりとした休日
何かしなければならない様な事は何もなく
ただただ、自由に使っても良い時間
午前中はただなんとなく過ごし
午後からは―――
「色々やろうとは思っていたんだけどな」
やりたいと思っていたこと
いい加減手をつけないとやばいだろってこと
やらなきゃならないはずのこと
いろいろあったんだが………
ラグナは読み終えた本へと視線を向ける
時間が無ければ読めない分厚い本
事実これは手に入れてから随分長い間そのまま机の上に積み重ねられていたもの
「ま、これはこれで良いのかもなぁ」
なんとなく手に取って
何気なくページをめくって
いつのまにかしっかり読み進めていた本
思わず読み進める位には話の内容も面白いものだった
こんなことでもなければなかなか読む迄至らなかっただろう本
充分すぎるほど満足したから
「結局何にもしなかったなぁ」
少し残念な気もするが、まぁ悪くはない
今日を逃していたら、結局また読む機会なんてなかっただろうしな
「少し時間が掛かり過ぎたってのが気になるところだけどな」
もうすぐ一日が終わる
いろんな事がほったらかしになった状態で
まぁ、明日からいろいろとしわ寄せが来るんだろうが
その辺りの事は今は綺麗に忘れておこう
暗く日が落ちた室内に明かりを灯す
雑然とした部屋の様子が浮かび上がる
………ま、なんとかなるだろ
昨日よりもなぜか雑然とした室内から目をそらしてラグナは部屋を後にした
 
 
 End