有効利用
大型のテレビに映し出された映像
高い音量で響く声
流れているのは、少し昔の映画
画面の正面にあるソファに座っていた
休日
たまに訪れる休みの日
公的には、週に1日ないし2日休日が設定されているが、その日が休みになる事は滅多にない
何かが起これば当然の様に呼び出されるし
国外からの客は、休日だからって断る訳には行かない
休日が事前に潰れ
当日休日が無くなる
仕事柄、そんなことは良くあること
だから、たまの休日は貴重
休みになったら、やろうと想ってる事は山の様に溜まっている
実際は
やることがありすぎるのと
日頃の疲れがあるからか
やろうと思っていた事を出来る事は滅多に無い
「時間が足りないよな」
ため息混じりに呟く
部屋の中をぐるりと見渡して
置いておいた幾つものやりたいこと
今日はやる気があるから、何かに手をつけようと考えている
「何するかな」
やろうって気はあるんだが、いろいろ在りすぎて何から手をつければいいのか解らないんだよな
これが仕事だったならば、必然的に優先順位は決まっている
けどな、やらないと何かに影響が出るって訳でもないからな
優先順位は自分次第
何をやるか、とりあえずでも決めなければ、何もしないまま時間が過ぎる
外に出るのは、まぁ仕事中でも出来るからな
褒められた事じゃないってのは良く解っているが、息抜きは必要
だから周りだって、見て見ぬふりをしている
「だとまとまった時間が必要なものか」
それに加えて今日一日でけりが付くようなもの
「とりあえず、どれか読むか」
合間の時間に読むってのも出来るだろうけど、好きじゃないんだよな
面白い内容なら、一気に読んでしまいたい
「どれにするかな」
しばらくの間考えた末、ラグナは一冊の本を手に取った
「何してるの?」
画面に映し出された古い映画
それだけ見れば映画を見ているってことなんだろうけれど
「んー?」
テレビ画面を前にソファーに座りながら手には本を持っている
テレビをつけっぱなしで本を読んでいる
………って感じでもなさそうなんだけど
「見てないなら消して良い?」
「いや、見てる」
「見てるって………」
………………
本と画面を視線が行き来する
確かに見てるってことになるのかな?
でも
時折思い出したようにめくられるページ
映画は佳境に入ったらしく、さっきからずっと目は釘付け
本の内容なんて覚えてないよね
呆れ半分に思った事は、数十分後現実になった
End
|