火種4
エスタ軍会議室
画面上に幾つもの情報が流れ
各地から送られた報告が告げられる
各国大きな動きは無い
大多数の国は国内の安定に時間を取られ
まだ、何かをする余裕は無い
「バラムの情勢ですが―――」
告げられた言葉と同時に映し出される資料
唯一、先の争いで直接的な被害を受けていないといえる国
「動いてるな」
派手とは言えないが早急な動き
『そろそろ気が付くだろうな』
他国もバラムの動きを察知するはず
そういうウォードの言葉に肯定する答えが返った
「問題、なんだろうけどな」
少しでもバラムの動向に注意を払っていればすぐに気が付く事が出来るだろう事実に、未だガーデンは気が付いていない
バラム各地で行われた接触――勧誘
結果は悪くは無さそうだ
バラムの目論見は当たり
準備は着々と整いつつある
あとは
「ハード次第って事か」
ラグナの言葉に幾人もが同意を示す
「どれ程の時間が掛かると思う?」
準備を終える迄
「どうだろうな」
聞いた所で答えを出せるヤツはいない
「そう時間が掛からないだろうことは確かだが」
軍を持たなかった国が軍隊を保有する
本来ならば一番の問題は人材の確保―――育成だったはずだ
だが、人材は簡単に手に入る
かつてバラムガーデンに在籍していた幾人もの生徒
かつてSeeDと呼ばれた者達
そのほとんどはバラムガーデンの手を離れ、それぞれがそれぞれの思うまま暮らしている
バラムはバラムガーデンが置かれた地
他の2つのガーデンとは違って全てではないが、それなりにバラムの出身者が多い場所
学園で訓練を受けた者
SeeDとしての役目を終えた者
半数程度は、元の地に戻っている
「手間の掛かる部分が省略出来るからな」
武器を扱い、戦うことの出来る人間
手の届く所に無造作に置かれた者達
それに、バラム政府が目をつけない訳は無い
そして彼等も、自分達が暮らす土地を守る為の軍隊だというのなら、さほど抵抗はないはずだ
―――攻め込まれた事実があるからな
そして攻め込まれたその際、バラムガーデンという存在は役に立たなかった
「建物の方もなんとでもなるだろう」
立派な軍施設を一から作るにはそれなりの時間が必要
だが、とりあえず入れ物だけを用意するのであれば、そこまで時間はいらない
「既に動いているみたいだしな」
バラムから伝えられた情報
幾つかの土地の調査、そして買収
『一番の問題は武器の購入だろう』
バラムには個人所有の武器はあっても、兵器を製造する場所は無い
早急に用意するには他国からの購入に頼るしかない、が………
「トラビアか?」
ガルバディアからの購入は難しいだろう
エスタに来るってのもちっと考え難い
「無難な所ではあるな」
「時間の余裕はできるか?」
トラビアはガルバディアの攻撃によって、兵士の養成機関―――ガーデンを失っている
今すぐ影響が出る訳じゃないが
隣国の武装はそう歓迎できるものじゃないしな
山で隔てられているとはいえ、陸続きの土地なのは確かだ
………エスタもそうだけどな
『トラビアの動向にも注意を向けるとしよう』
ウォードの言葉で話は終わった
かつてガーデンに在籍していた者達
本来ならば接触を受けた誰かがガーデンにその旨を伝えるだろう
だがそれは、バラムガーデンに伝えられる事は決して無い
バラムガーデンは、今現在その地に所属する者以外受け入れることは無いから
End
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