シミュレート
 

 
動きが読み取られる
読み取られた動きがデータ化され
データが蓄積されていく
何度も繰り返された作業
幾人もの動きがデータ化される
そして、体の動きとは別に蓄積される思考データ
同じ様に幾人もの人から読み取られた幾通りものデータ
同じシチュエーションにおける様々な行動
───戦闘データ
幾人もの何十人、何百人ものデータを集め
ある程度系統分けされた
パターン化されたデータ
一般的な兵士を何人集めたところで、有意義なデータにはならない
収集したデータを解析した結果出された結論
優秀な者の戦闘データを取りたい

「戦闘データって言ってもな」
“優秀な”人物の戦闘データ
軍の方から出された要望にラグナはウォードへと困った視線を送る
『どう“優秀”なのか困ったものだな』
一対一の戦いに力を発揮する者が集団戦でも発揮できるとは限らない
モンスターとの戦いに慣れた者が人相手の戦いに力を発揮するとは限らない
“優秀”な戦闘データを入手したい
その気持ちはわからなくも無いが、どう優秀であれば良いのかが解らない
『最終的な利用方法を考えれば、必要となるのは“軍”の兵士だが』
蓄積されたデータは、エスタ軍の機械兵へと使用される
そもそも機械兵の利用目的は、平時の利用では無く、戦時の利用
今現在も優秀な機械兵が実験的に現場投入されているが
実際の戦闘を自己判断で行うには不安がある
その為のベースとなるデータの強化
なんだが………
「戦闘能力で考えれば優秀なのはいることはいるんだがな」
そしてその者達は金を払えばデータの収集に協力はしてくれるだろう
ラグナの言葉にウォードはただ首を左右に振る
「集団戦には向かないだろうな」
“軍”の中の一兵士としての動きという意味では期待は出来ない
ああいう奴等は集団の中では力を発揮出来ない
それ以前に、集団を乱す要因になる
『ま、戦闘技術だけは使えるかもしれんが………』
「動きのパターンだけってことか」
戦術データを取らずに行けば案外使えるかもしれないな
『進化するという話だからな』
「動きを元に戦術を組み込むってのは可能なのか?」
『どうだろうな』
提案は出来るが、仕組みを知っている訳じゃない
だから、科学者やら研究者やら学者やら───
その辺りとやりとりするってのはなかなか難しい
「とりあえず提案はしてみるか」
使えるようだったら、そう返事が来るだろ
『ではそう伝えるとしよう』

数ヶ月後
シミュレート機能の確認
武器性能の確認
そんな名目で新たなデータが集められた

 End