魔 法
“魔法”
それは“魔女”が使う代物
魔法が研究され、”魔女”以外の者が使う為の手段も生まれてはきいてるが、それはあくまでも“戦える”者のみが可能な手段
一般的には“魔法”は人が使えるモノではない
だから“軍人”ではない者達が魔法を使えば疑いがもたれる
あれは“魔女”ではないか、と
「ま、平たく言えば魔法は使うなってことだな」
街中───は戦闘になることはまず無いが、町や村周辺でも魔法は使わないに越したことは無い
そう言われたのはエスタにきた当初の事だったと思う
魔法は元々あまり使っては居なかった
───どうしても使わなければならないのならともかく、普通は武器やG.F.で片が付いた
他の奴等も候補生達も似たようなものだった
だから忘れていた
そう注意を受けていたことを
“魔法”というものがどんな認識をされているものなのかを
忘れていたから、特に注意をすることも無く魔法が使われるのを見ていた
それはよくある日常
町と町を繋ぐ街道の途中に現れたモンスター
モンスターに襲われる彼等を見つけ、善意で倒し彼等が怪我を負っている事に気がついた
だから、怪我を治すための魔法を使った
魔法の発動と共に
彼等の顔がかすかに強ばった
警戒した様子の彼等は、
バラムガーデンのSeeDである事を知って、態度が緩和した
“魔女じゃなかったんだ”
安堵の声で告げられた言葉にとっさに言葉が出なかった
自分達は確かに“魔女”では無い
けれど自分達は“魔女”を知っている
躊躇った答えを聞かないままに彼等は礼を言って立ち去っていった
あの言葉を思い出したのはしばらくしてから
“魔法”が使われたから彼等の様子が変わった
“魔法”は使うな
あれは魔法が危険だからではなく、エスタ人は魔法を嫌うから
魔法は“魔女”だけが使える力
かつてエスタには魔女が存在していた
それが“良き魔女”なら違ったのかもしれないが、魔女は人々を操り支配した
魔女はエスタにとっては恐怖の対象
ある程度魔女を理解し受け入れた上層部とは違い、大多数の人々はそれが正しい魔女の姿だとそう思い込んでいるのかもしれない
“魔法”は“魔女”が使う
誰もが知っている事実だ
だから“魔法”を恐れる
魔法を使う者は“魔女”かもしれないから
そして“魔女”は災いを運ぶ者であるから
エスタの人々の認識を突然変えることはできない
だから、“魔法は使わない方が良い”
わざわざ魔法を使わなくとも、それに変わるアイテムは豊富に用意されて居る
「魔法は使わない様にしよう」
エスタでの魔法の使用は禁止
それはいつの間にかガーデン全体へと浸透していった
End
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