技術力 
 

 
金属音と機械の音が響く
眼下に金属製の部品が流れる
視線と足を移動した先でソレが組み上がっていく
次々とできあがって行く金属の塊
順調、なんだろうな
少しずつ確実に数を増やすソレに複雑な思いを抱いた

───人が戦いにかり出される事が無くなれば良い
それは理想
人と人の争いが無くなったとしても
人は戦わなければ生きてはいけない
この世界は人だけのものでは無い
すぐそこに、決して共存する事の出来ない生き物が存在する
モンスター
だから戦う者が居なくなることは無い
けれど
その数を、負担を減らす事は出来る
元々エスタの軍は機械によって支えられていた
元々は、一般人を効率良く兵士に仕立て上げる為の仕組み
それを上手く利用して、改良して
純粋な兵士───戦う者───の数を減らしていく
その傍らで
戦う力を持つ者の技術と経験を蓄積する
エスタに居る少数の者の記録
そしてこの地を訪れた者の記録
蓄積されたデータ
人では無い戦う者を造り出すこと
形は随分前にできあがり、中身は───

エスタの特色として上げられるものと言えば科学力が上げられる
他国では見た事も無い道具
そして全く違った性能を持つ機械
街の形、建物も他では見ない形をしている
そして
一般人が滅多に目にする事は無いモノ

街外れで時折目にするエスタ兵の姿
街の安全を守り
立ち入り禁止区域から人を排除する
交代で行われる彼等の中に、時折不思議な装備の者が混じる
格好は違っても、他の者達と変わらない“彼”の対応に人々はさして気にもしない
当たり前の光景の中“彼”は少しずつその数を増やしていった


 End