息抜きと人助け  

鋭く動かした腕が剣を払う
僅かに力を込めた指が引き金を引く
重い衝撃
耳に響く音
身動きした相手の様子にすぐさま身体を動かす
魔物の爪をすり抜ける
振るった腕に感じる感触
モンスターの絶叫
距離を置いた目に、倒れ込む姿が見える
数秒
数分
動かない姿に斃した事を確信する
斃しただろう事は解っているが、それでも慎重にモンスターへと近づく
まだ生きていた
不用意に近づいて痛い目を見たことも何度かある
昔はどうにかなった
だが、今もどうにかなるとは限らない
………どうにもならない可能性の方が高そうだな
今は一人だ
手数が足りない
念の為モンスターへ一度攻撃を加え
動かないことを確認してから、解体する
毛皮を取り除き
身体を切り裂く
作業の間もとりあえずは辺りを警戒しておく
他の奴が襲ってこないとも限らない
………ま、襲ってくることも無いとは思うけどな
ちらりと見た視界の端で特徴的な生き物が駆け抜けていく姿が見えた

「モンスターが異常発生したそうだ」
そんな事を言われたのは数日前
討伐の手配やらなにやら、一通りの仕事があって
異常発生したっていう奴もたいして強い奴じゃ無い事は確認していた
ただ、まぁ
問題は異常発生した場所
人里に近いと言う訳じゃない
むしろ人里からは遠く離れている
あまりに未開の地過ぎて軍も出動できない?
近いような気もするが、それも違う
そもそも、未開の地ならわざわざモンスター討伐に乗り出す必要も無いからな
問題はさっきから近くをうろちょろしている奴等の存在
こちらの様子をうかがっていた奴等が脅威が去ったことを悟ったのか近づいてくる
「おぅ、怪我は無かったか」
掛けた言葉に、大丈夫とでも言うように一声上げると、森の奥へと立ち去っていった
 

 End