仕事
気分転換に出かける
そんなつもりでいた朝、急な仕事が舞い込んで来た
この仕事って奴が楽しいモノだっていうのならあきらめもついた
けど、むさ苦しいおっさんとの話し合い
その話し合いも俺が話をする訳では無く、他の奴が話をしている所を見ているだけ
話す必要が無いのなら、ここに居ても仕方が無いと思うんだよな
結論は後から簡潔に纏められた報告書が提出される
………別に居なくても良くないか?
客とのあいだで交わされる難しい話を適度に聞き流す
退屈だよなぁ
こっそりとため息を吐いたハズが睨まれた
朝から一件入っていたハズの仕事
相手方の都合で来週へと変更した
お陰で今日の仕事は無くなった
だから休み
って訳には残念ながら行かない
平日なんだから、それ以外の仕事をやれってことだ
なんだが
やる事は特にない
緊急の案件でも上がって来れば別なのかも知れないが
代わり映えのしない日常的な業務は、補佐達やらなにやらが片付けてしまう
お陰でやることはほとんど無い
「どうするかなぁ」
ただぼんやり椅子に座っているのは性に合わない
何かやることが在ればな
って言ってもやれる事もな
すぐ手を伸ばせる場所にあるのは、今まで関わった事の無い様な仕事
やろうと思ってすぐに出来る様になる様な代物じゃない
やってきた仕事の大半は戦う事だしなぁ
………パトロールでもするか?
街中にモンスターが出てくる事も多いし
なにより、まだ残党も潜んでる
なら、見回りをするってのも良いかもしれないよな
考えた結果勢いよく立ち上がる
んじゃあ、そうするかな
そう思いついたのが脱走の理由
歩き慣れた道を歩く
時折掛けられる声に応えながら、上機嫌で辺りを見回す
昔と違ってモンスターが襲ってくる事は無い
昔と違って掛けられる声も好意的になっている
つい先日の騒ぎが嘘の様に平和な日常が広がっている
「まぁ、良いことだよな」
平穏な日常に笑みを浮かべて“仕事”を続行した
End
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