常識の差

習慣の違い
慣習の違い
認識の違い
………場所や立場が変われば“常識”が違う
今まで必須だった知識は必要の無いものに
今まで当たり前だった常識は少数の意見に
国が変わったから
だけではなく
生き方が変わったから
自分が身につけてきたものが全て意味合いを変えてしまった
そうして、初めは特に感じなかった事
次第に生まれてくる違和感
あの箱庭がどれだけ歪んだものだったのか
都合の良いように歪められたものだったのか
やがて及んだ理解
少しずつ、距離が離れる
同じ様に距離を置き始めた者が居て
苦境に追い込まれたらしい彼等からの連絡がしょっちゅう届く様になった
『忙しい』
伝えた言葉は真実
………煩わしさに使った言い訳
次第に無くなっていく連絡
連絡が無いことを気にする事も無く過ごす日々
そして───

「ガラムガーデンが無くなった?」
ニュース番組で伝えられたあっさりとした報告
俯きながらTVに映るかつての仲間
暗い表情をした姿に僅かに心が痛む
だが………
歪んだ理想
歪んだ体制
平和になった世界に“傭兵”は必要無い
方向転換すれば、生き残ることが出来た
聞こえてきた言葉は確かにその通りだ
以前の上層部が一新した際に、いくらでも方針は変えられた
彼等は遠い将来に“バラムガーデン”が無い事も今と同じ“SeeD”が存在しない事も、間接的に知る事が出来ていた
もう少し外に目を向ければ、変わる事はできたはず
「………自業自得、か」
外から見ればその言葉一つで済んでしまうのだろう
きっと、連絡を取ってくるだろう彼等とどう相対するべきか
今はただ、その事だけに意識を向けた

 End