職務
“魔女”との戦いが終わって一応の決着が付いた後、大きな事件は少なくなっているが、ガーデンに入って来る依頼の数が極端に減ったという訳でもない
逆に細々とした依頼の数は増えているかもしれない
依頼が入るたびに、内容を検証し引き受けるかどうかを決め、派遣するSeeDを検討する
ガーデンに対する対外的な申し出が在った場合、その内容を検討し対応を決定する
ガーデンの方向を決定する様々な仕事
これらを処理するのが、ガーデンの中枢に居る幾人かのSeeD達
複数の人間が居るとはいっても、彼等はいつでもガーデンに居る訳ではなく、彼等にも当然得手不得手が在る
簡単に言えば人手が足りていない
休日に度々呼び出される程度には
積み重ねられた仕事
果てなく続くデスクワーク
1日中机の前に座って
1日中書類の束を見て
長時間続く同じ作業
長時間の拘束
果て無く続く同じ作業がどれほど苦痛か、なんて事は説明される迄もなく解っている
長い間同じ事を続ける為には、息抜きや気分転換が当然必要で
ついでに所々に刺激があればいい
時々繰り広げる脱走
あれは、ラグナ自身に必要なモノでもあるが、
―――向こうもわざと隙を作ってるからなぁ
案外ラグナの周りの補佐官や秘書官達にも必要なモノとして受け入れられている
ラグナの脱走に関しては、半ば公認されたものであり
ある意味“いつもの事”なのでたいした問題じゃない
―――スコールが居なくなった
セルフィから突然入った通信を聞いた時、何事が起きたのかと身構えたが………
驚きに固まったラグナに、セルフィが話した内容はスコールが“逃げ出した”という事
ラグナは幾度か瞬きをし、先程までセルフィの姿を映し出していた通信画面から少し横へと視線を向ける
「エスタに来たら連絡しろってよ」
緊張したように遣り取りを眺めていたスコールの視線がばつが悪そうに反らされる
「………………」
バラムガーデンでの仕事ってのがどういったヤツなのかは知らないが、逃げたくなる気分ってのは良く解るしな
………スコールが実行するってのはまぁ意外だけどさ
それだけ煮詰まってるって解釈できなくもないしな
「ま、セルフィちゃんも、“今から到着したら”って言ってたしな」
そんな重要な意味を含む言葉じゃない
けど、まぁスコールが居るかどうかの確認もしてなかったし
悪いとは思うがここは“あの後に来た訳じゃないから”って事にしてしまえば問題ないだろ
ラグナの言葉に少しほっとしたのか、スコールの身体から力が抜けた
―――過剰な仕事にストレスが溜まったら逃亡する
「………行動パターンがちょっとだけ似てるよねぇ」
呆れたように呟かれたのは、それから数時間後の事
End
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