一月、年が明けて一息入れる間もなくすぐに仕事が押し寄せてくる 押し寄せて来る仕事の内容は、幾日も同じ物が続く上、延々書類にサインを続ける単純作業だ 苦痛、以外の何物でもない 「………そろそろ休みが欲しいよなぁ」 ラグナの呟きに、一瞬室内の視線が集まり、すぐに何事も無かったかのように反らされる 「まとまった休みをくれなんて贅沢なコトは言わないからさ、少しのんびりしたいよなぁ?」 ため息混じりの問いかけ言葉に、幾人かが逃げる様に部屋を出る 耳を塞ぐようにして仕事が進められる中、書類処理していた筈のラグナの手は止まり、視線は窓の外へと向けられている 幾人かの無言の訴えに、キロスがラグナの側へと足を進める 「それは、私も同感だが………」 ラグナの前へと置かれた書類をキロスが指で弾く 「とりあえずこの書類の山を片づけて貰わないことには、休みはおろか帰宅する事も出来ないな」 ラグナの視線がゆっくりと書類へと向けられ 「片づけろったって、いつまでたっても終わらないぞ」 言葉と同時に丁度部屋へと入ってきた相手に、ラグナの恨めしそうな視線が向けられる 次々と運ばれてくる書類の山は、年明けから―――年明け早々の行事が終わってから―――ずっと途切れることなく積み上げられている 「それも、仕方ないことだ」 早く仕事を再開しろと、キロスが視線で促している 運ばれてくる書類は、各部署からの去年一年の報告書 そう簡単に終わらない数になるのも当然と言われれば確かにその通りだ 「毎年の事だ、諦めたらどうだ?」 キロスの言葉にラグナが嫌そうに顔をしかめる 「それもな、なんでこの時期にこんな仕事をしているのかって思うんだよな」 「毎年同じ事を言っているが、この時期だからこそ、効率良く仕事が進んでる、と思わないかな?」 外に出ることさえも躊躇うようなこの時期 この時期から新しく始められる仕事も数少ない 国を挙げて一年の報告をするには最も適した時期 何年も前にそんな説明をされた覚えは確かに在る 「一月時期をずらす程度なら、その条件に当てはまると思うけどな」 外に出るのを躊躇うって言えば、一月後だってほとんど同じだ 一ヶ月後の時期に開始する仕事もほとんど無いっていう点では同じ筈 それにも関わらず、毎年時期を変更しようっていう提案は受け入れられたことが無い 新しい年が明けて新年の一騒ぎが終わった直後に、延々室内に押し込められて、同じ事を繰り返すっていうのは、さすがに気が滅入ってくる 「ラグナ君の心境に関しては、他の時期に移したところで同じだろう」
End
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