先送りの品々
いざやろうとすると、何か用事が入るなんてことは良くあることで
それが幾度も繰り返される、なんてこともまぁあること
けどまぁ、何度も同じ事が繰り返されれば
次第にどうでも良くなってくるってのは、誰でも経験があることなんじゃないかって思うこと
まぁ、それが幾つも積み重なった結果ってのは、拙いとは思うんだけどな
常々思っていた事だけれど、この家は無駄に広いと思う
ここで暮らし始めてそれなりの月日が経っている筈だけど
まだまだ足を踏み入れたことの無い場所があって
どこに何があるのかさえも把握できてない
だから、今日はたまたま
気が向いたから
まだ足を踏み入れていない場所の扉を開けた
適当に押し込まれた様々な品物
歳月を重ねて色褪せた品物は
それを行った人が誰なのかを如実に物語っているけれど………
「こんな所に仕舞い込んでたのか」
エルオーネは深く深くため息を吐く
すぐ近くに無造作に押し込まれているのは
最近幾度かラグナが手にしている所を目にして
いつのまにか消えてしまっていたもの
パズル、らしいソレは密かにエルオーネも面白そうだと思っていたものだったけど
「飽きたのか、歯が立たなかったのか、どっちだろ」
良く見れば部屋のあちこちに似たような代物が置いてあって
そのどれもが中途半端に投げ出されている
ここに押し込めてあるのなら別に貰っても良いね?
何年もほったらかしにされている状態
とりあえず放り込みましたって目に見えて解る状況
………うん、良いって事にしよう
エルオーネは一人で納得すると手近にあった一つを手に雑然とした部屋の扉を閉めた
「エルが欲しいんなら、俺としては助かるよな」
さすがに勝手に持ち出すのは悪いと思って、帰宅したおじさんに伺いを立てたんだけど
おじさんからの返答は、そんな素っ気ない言葉
いつか手をつけようと思っていたとか
取っておきたいとか
大事にしておくとか………
そういった事は全く無いみたい
「あれ、全部いらないの?」
「ん、欲しいと思って買ってはみたんだけどな………」
「今はもういらないんだ」
はっきりしないおじさんの口調にため息が零れる
「まぁ、そういう事になっちまったんだよな」
それから続いた煮え切らない口調の言い訳に、私は幾度目かのため息をついた
時間が空いた時の
手持ち無沙汰の時の
丁度良い暇つぶし
なんだけど………
ものによってはコレが案外時間が掛かる
その上、集中してやらなければ次の一つを見失いがち
「おじさんが投げ出したのも当然かも………」
ほんのチョット後悔しながらエルオーネは地道にパズルを続けた
End
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