不意に、どうしようも無くなる時がある 突然、過去のことを思い出す 感情がその当時へと引きずり込まれる それは前触れもなく 何気ない瞬間 ふとした日常に襲ってくる 誰かが傍に居ればまだ大丈夫だ 他愛のない会話で意識を戻す事が出来る その時間まで、戻ってしまう事は無い けれど……… 誰もいない時思い出した過去 その過去が、数少ない優しい記憶なら 愛しい存在の記憶だったら “とらわれる” 解っていても、意識も感情もその時へと戻っていく 解っていたところで、止める事なんか出来ない いや、止めるつもりにもならない だから――― ふいに訪れたその状況に身を任せる、あらがうことが出来ずにその時へと時間を巻き戻す 憎しみと後悔、激しい感情が身体の内側で渦巻いている そして、 “もしも―――” その言葉が訪れる 己が取らなかった行動 違った行動を取っていたのなら 叶うはずのない願い 最後に残るのは諦め 望みは叶わない事を知っているから 時は二度と戻らないことを知っているから あきらめの吐息を吐き出す そして、ソレで終わりだ 今までもあったこと 幾度も経験していること 今はもう“感傷”という言葉で片づいてしまう程度代物だ だから
「………あんた何かあったのか?」
End
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