料金設定の基本


 
価格表なんて存在しない
値段は持ち込まれた仕事の中身と結果で変わる
同じ状況下での仕事は一つとして無い事を考えればそれで当然
ただし料金の支払いは前払い+成功報酬
だから、仕事を引き受ける際の見極めがとても重要になる
持ち込まれた内容で、その本質を見極めなければならない
想定される事態と労力を割り出さなければならない
的確に判断する事が必要となる
ソレを実現するのは、洞察力と長年の経験ってヤツだろうか?
それがないないら………
下調べを充分にするしかないよなぁ?

仕事の依頼、は別にするつもりは無い
だが、今後の参考までにってことで説明がなされる
ま、そりゃ依頼を受けなければ収入の大部分が断たれるんだ、こういった機会に売り込みをするのは当然だ
商品を買って貰うには、商品を知って貰わなければならない
………って、どっかの誰かが言っていたらしいしな
その辺りの事を考えれば、料金説明を受けるのは解らなくもないんだけどな
目の前に置かれた一覧表に目をやり、こっそりとため息を吐く
メモを見ながら一生懸命説明をしてくれる声を聞きつつ、こっそりと目元を押さえる
小さな字でびっしりと書き込まれた料金の数々
目を凝らして見てはみたが、目が痛い
それ以前に、こんな書き込まれても読む気にもならない
肘をこづかれて、慌てて目元から手を離す
一通りの説明が終わったらしく、タイミングよく視線が向けられる
「まぁ、何か合ったときはよろしくお願いします」
煮え着せないお決まりの言葉が告げられる
「………………」
『これの存在意味はどこにあるんだろうな?』
相手が席を外すと同時にウォードに問いかけられる
「しらねぇよ」
一覧に載せられた事細かな料金表は、すべて“○○〜”
料金表を載せる意味が感じられない
『まぁ、仕事を頼む方も分からない物が増えてきているのかもな』
彼の視線の先で、依頼者らしい老夫婦が交渉をしていた

護衛業務に規定の料金は存在しない
それは護衛の対象となる人物が様々だから
護衛の期間が様々だから
護衛の場所もまた様々
そしてなにより、護衛をする者の能力も様々だ
傭兵業務にも規定の料金は存在しない
理由は同じだ
ガーデンで取り扱う商品のほとんどは規定の値段を決める事の出来ないもの
値段は状況と条件次第
簡単に言えば全ては交渉次第
料金表なんてものは元々作る事の出来ないものだ
 

 End