将来2
問いかけられて言葉に詰まる
他に道が無かったから
エスタを選んだ理由なら簡単だ
煩わしい程の勧誘
あれを知っていれば誰もが納得をする
けれど、“大学”を選んだ理由―――
勧誘から逃れる為
煩わしさから逃れる為なら他の手段だってある
“大学”という場所を選んだ理由
「………エルオーネと同じ理由だ」
スコールの言葉にエルオーネが首を傾げ
「知りたかったから?」
確認する様な問いかけ
「そうだ」
「………そう」
バラムガーデンで学んだ事は多い
一般的な教育機関よりも、深い知識を教えている
そう、告げられていたし、実際に深い知識が与えられていたんだろう
ただし、それも一部の知識に限っての事だ
ガーデンはSeeDを生み出す為の機関
特にバラムガーデンは、その特色が強い
与えられた知識には偏りが在る
ただSeeDとしてガーデンで暮らしていたのなら解らなかったかもしれない事
活動の場が様々な場所へと広がり
SeeDとして、またバラムの代表として、様々な機関と接触を持つ事によって解った事
知識が足りない
それも誰もが知っている様な、一般的と言われる知識が不足している
教える必要が無かったのか
それとも意図的に削られていたのか
体制が変わった今となっては関係の無い事だ
今、ガーデン生として在籍している者達にとっては………
今からならば、与えられる知識の量も変える事が出来る
けれど、今までは………
知らなければならない事が沢山ある
知っていなければいけない事も
これからどんな人生を歩むにしても、知識を学ぶ必要がある
手っ取り早く学ぶには
確実に知識を手に入れられる場所は
考えれば、結論は簡単だった
カチリと、食器が触れる音がする
視線を向けた先で、ゆっくりと深くエルオーネが頷く
「知らない事、多いからね」
かみしめる様な言葉は、スコールに対しての言葉の様でもエルオーネ自身に向けられた言葉の様でもある
「………ああ」
今まで育った、環境の特殊さ
それはエルオーネも同じだ
知らなければならないこと
知りたいと思うこと
もしかしたら、語らない理由も似ているのかも知れない
End
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