ゲート
エスタには未だ謎が多い
以前とは違い国は開け、エスタへの旅行もできるようにはなったが、旅行者が立ち入ることができるのは国「エスタシティ」のみ
その他の地域は未だ閉ざされている
エスタ側の言い分は、“危険である”ということ
だが、モンスターが出るのは他の国でも同じこと、エスタだけが特別多いというわけではないはずだ
エスタには隠された謎が多い
隠されているものは、暴きたくなるのが人というものなはずだ
執務室でのいつもの作業の最中
通常の業務に割り込むように通信が入った
一瞬、緊迫した空気が室内に流れ、通信を受け取ったキロスの様子に何事もなかったように業務に戻る
少しして、報告がまわされてくる
「セキュリティに引っ掛かった?」
「旅行者の一人だそうだ」
エスタシティの外に出ようとして引っ掛かったという反応
セキュリティゲートの役割は元来は“外から中”への侵入を防ぐためのもの、だが
「そういやそんな物も動いてたな」
今あるゲート自体が昔のゲートを利用して作ったお陰で一部が双方向性になっている
「今回役に立ったともいえなくはないがな」
勝手に外に出て、モンスターの餌食になるのは自業自得だろうけどな
問題の人物のデータが表示される
―――旅行目的の一般人
少なくとも、どこかの国や軍の関係者ではない
「ま、面倒な話にならないならそれに越したことはないな」
エスタシティの外に出たところで、観光するような場所は何もない
あるのは荒野といくつかの研究機関
………それが目的って事もあるかも知れないが、そういう奴等ならもっと上手く抜け出すだろうしな
それに相手がそういうヤツならば、多少危険な目にあったとしてもこっちに責任を押しつける事も無い
「ま、厳重注意ってとこだな」
「既にその辺りのところは、行われている様だがね」
ま、そりゃそーかもな
「………何が問題なんだ?」
相手は只の一般人
不注意な行動に対する注意はした
決着が付いた事なら、ワザワザ通信に割り込む必要は無い
「少々癖のある人物だったということだろう」
目の前に表示される言葉の羅列
「………隠された秘密?」
「そう主張して手に負えないそうだ」
何か楽しげなキロスの言葉
「めんどうだよなぁ」
ラグナの言葉に幾人かが同意する様にこっそりと頷く
「………そのまま外に出しちまっていいんじゃないか?」
こっそり出て行かれれば面倒だが、今なら誰かが見てるよな
「確かに実際に体験して貰うのが一番ではあるな」
キロスの合図を受けて、ゲートと連絡が取られた
エスタシティの外側に広がる広大な荒野
その外側に一歩足を踏み出した
このどこかに秘密が隠されている
………そのはずだった
現実は、目の前に現れた凶悪なモンスターの姿
エスタシティの外はモンスターが蔓延る地
普通の人が出歩くことは出来ない
目の前に広がるのはエスタが公表したモノと同じ光景だった
End
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