無回答
毎日の様にガーデンに届く幾つもの通信文
通信手段も内容も様々なそれの中に
時折紛れ込んでくるインタビューの依頼や幾種かのアンケート
封書で送られてきた通信文の中に
それはひっそりと紛れ込んでいた
バラムガーデンの司令室の一角
いつもの様に届いた封書を開いて中身を確認して
いつも通り分類別に分けて
「なんやろね、コレ」
一緒に仕事をしていたセルフィが手にした中身は、少し普通じゃない内容
“アンケート”と書かれた書類の下には、普通見ることは無い質問が並んでいた
「宇宙人って言えば、アレだよねぇ」
脳裏に浮かぶのは水色の(多分)生き物
「………そうね」
あの時に世界のあちこちで幾度か出会って………
「………あれって帰って行ったのかな?」
ふよふよと飛び去っていった(多分)宇宙船
「さあ、どうなのかしら?」
あれから後は一度も遭遇する事は無かったし
誰かが遭遇したという話も聞いてはいない
だから、あの時に居なくなったのかもしれない
もしかしたら、まだどこかで彷徨っているのかもしれない
そもそもあれが本当に宇宙人なのかどうかも謎だわ
少し形の変わったモンスターだったなんて事も考えられない訳じゃないもの
「ん、それは良いんやけど〜」
セルフィがそう言って、手にした紙をひらひらと振る
「これに返事出す?」
並べられたアンケート項目は“宇宙人”に関する幾つかの内容
「そう、ね………」
アンケートの内容は答えられない様なものではないけれど
普通一般からすれば、答えられない―――答える筈も無いような事
キスティスはテーブルの上に置かれた封筒の裏書きに目を通す
「ほっときましょう」
書かれていたのは聞いたことも無い機関
さして縁ある訳でも無く
今までも関わったことの無い所なら
このまま放置しても文句は言われない筈よ
「おもしろそうやと思うんやけどな」
「接触するなら、個人的にお願いするわ」
キスティスの言葉にセルフィはほんの少し肩を竦めて見せた
封書の中に時折紛れてくるおかしな文書
あの後、同じ機関からの質問は、今のところ届いてはいない
End
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