接触


 
街の中が慌ただしい
緊張した面持ちの兵士達が街の中を動き回っている
スコールは、彼等の邪魔にならず、彼等の目に触れない位置をゆっくりと移動していた
手がかりに繋がるはずの少年の姿はすでに見えない
けれど、きっと、あの場所に行けば、手がかりが掴める
彼等を2度にわたり見かけた場所
もう一度彼等が姿を現すなら、きっとその場所
スコールは、不思議な確信をいだきながら、駅前広場のベンチに座っていた

ガルバディア大統領の目的地が判明した
TV局周辺の警備が、目に見えて強化されている
だが、今更あの場所になんの用事があるというのだろう?
電波が使えない状態で、TV局のみが動いていても仕方がない
その理由から、あの場所はあの日から閉鎖されている
何をするつもりなのかはっきりしないが、テロリスト……
――彼等は、独立をする為の革命家のつもりらしいが
先日ガルバディア大統領を狙った人物が次に現れるとするならば、この機会を逃す事は無いだろう
そして、街の人々が密やかに噂するSeeDの存在
列車襲撃の状況を詳しく知る事が出来れば、事実SeeDかどうかの手がかりになりそうだが……
辺りに視線を巡らし、ガルバディア兵士達を見る
知り合いでも居れば、と思ったが
ラグナくんではあるまいし、都合良く話は進まないな
もう少し、探ってみる事にしよう
キロスは、観光地図を見ながら駅の方向へと歩き始めた

――エスタ――
「電波塔の要求?」
聞き取りづらい声が語る言葉にラグナは眉を潜めた
あそこは、ずいぶん前に実質上閉鎖されて居る
それをわざわざ強奪する為だけに、兵士を派遣したってのか?
「電波塔でなんらかの作業をしていたとの情報も…………」
「……放送しようってのか?」
世界規模での電波状態があれの影響で確かに可笑しくなっている
だが、まったく電波が届かない訳でも無く
条件が重なりさえすれば、ごく短時間だが、以前と変わらない電波を送受信する事が出来る
現にこうやって、連絡を取り合う事が可能だ
「何か仕掛けるつもりだな」
ラグナの呟きに、周囲の人々が緊張した面持ちで頷いた
「………わかった、その件はガルバディアの出方を見るって事にする」
きっと、何らかのアプローチがある筈だ
「放送が流れる事があったら、しっかり見ておいてくれ」
さすがにこっちまで、電波が届く保証は無いしな
「判りました、それでは、私は動きが有るまでもうしばらくここに留まる事にします」
「頼んだ」
雑音に交じった連絡が途切れる
「聞いての通りだ、注目しといてくれ」
ラグナの言葉が終わると同時に、人々は一斉に動き始めた

ホームに列車が滑り込んできた
時刻表に存在しない列車の存在にスコールは、ベンチから立ち上がる
扉が開く
ほぼ同時に走り降りる少年達の姿

彼等の中の1人が隠すように手にした武器が目に飛び込んできた
スコールはさり気無く、足早に歩き始める
背後から掛けられた言葉に、彼等の内の1人が背後を振り返った
瞬間
スコールはさりげなさを装いながら、彼へとぶつかった 


To be continued

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