待機
2F応接室で待機
学園内に、無機質な放送が響いた
建物内の大体の位置関係は把握出来たが、まだ細かい所が調べ足りない
このまま呼び出しに応じない、という手もあるけれど……
幸いにして、辺りに人の気配は無い
潜入し脱出する事のみを目的にするならば、このまま人目につかぬ様に内部を探り、タイミングを見計らって退去する事はさほど難しい事では無いと思える
……だが
ガルバディアガーデンの事情を把握する事は、ガルバディアそのものの事情を探る事に繋がる事は目に見えて分かっている、けれど今回の任務はバラムガーデンの方に比重がある
詳しい事はまだ分かっていない
スコールは踵を返すと、廊下を元の方向へと歩き始めた
「いつまで待たせるんだ?」
部屋の中いらいらとサイファーが歩いている
他の部屋とは違い柔らかな雰囲気を持っているが、どことなく無機質な印象を受ける
スコールは、物珍しさを装って室内を見渡す
『応接室ってのは人を迎え入れる場所だからな、そいつが何を思っているのか案外分かったりするぜ?』
何故か無機質に感じられるこの印象は、ここの学園長の人格に由来しているのだろうか?
物の少ない部屋
部屋の広さに比べて小さめの家具
家具と家具の間に設けられた自然な程の空間
閉塞感の解消っていうのとはまた違うな
なんとなくソファーへ手を伸ばし、たまたま床へと移動した視線が固定される
「!?」
床とソファーの足を繋ぐ不自然な煌めき
改めて確認すれば、全ての家具に同じモノが見える
動かないように固定された家具
スコールは、大きく開いた窓際へと足を向ける
触れたガラスはひやりとした感触と共に、独特の感触を伝える
警戒心が強い、という言葉ではすまされそうも無いな
扉から離れた位置に置かれたソファーは、退路を防ぐ為だろうか?
「あんたも座ったら?」
もしもの時の為、脱出ルートを考えようとしたスコールにゼルが声をかける
「え?……ああ……」
同じガーデン内だからだろうか、ソファーに座る彼等の様子には警戒する素振りが見られない
バラムでもガルバディアでも、ガーデンはガーデンという事か
ゼルの勧めに従ってソファーへと近づき
……何処に座れば良いんだ?
スコールは、困ったように足を止めた
俺達が応接室に入ってからかなりの時間が経って、ようやくキスティスが戻ってきた
「んじゃあ、バラムも俺達も無罪放免って訳だよなっ!?」
随分長い時間は掛かったけれど、キスティスが伝えてきたのは、吉報だった
大統領を襲撃したのは、例の訳の分からない奴等だけの責任でガーデンは関わりないって事になったらしい
そういう結論に達するには色々あったみたいだけど、俺達には関係無いしな
「これでバラムに帰れるなっ」
明るくそう言ったゼルの言葉に、キスティスがゆっくりと左右に首を振った
「それがそうでも無いみたいなのよ」
キスティスの言葉が終わると同時に、1つの放送が響きわたった
To be continued
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