収容所にて


 
耳に響いた爆発音に身構える
近くから聞こえる、兵士達の声
聞き取り難い会話は、何者かが施設を破壊している事を伝えている
……んなことは、見れば解るじゃねえか
こんな何にも無い所で、爆発事故なんてものが起きるはずも無い
そして、自分達の職場を何も好きこのんで爆破して廻る様な奴がいるとも思えない
それなら導き出される結論は一つ
俺達と同じ脱獄者か、侵入者だ
「あいつらかもしれねえな」
「そうね、その可能性は高いと思うわ」
笑みを浮かべたサイファーの言葉を聞きつけて、キスティスが同意する
「んじゃあ、行くか」
急ぐわけでも無くゆっくりと歩き出す
取り戻したばかりのガンブレードの重さが心地良い
「居たぞっ!」
大声と乱暴な足音を立てて、ガルバディア兵が顔を出す
「懲りない奴だな」
何度やったところで、俺にかなうはずも無いっていうのに懲りずに大声を張り上げて突撃してくる
めんどくさげに振るったガンブレードの刃が触れる
たった一撃であっさりと崩れる身体
「話になりやしねえ」
どうせ勝負にならないんだ、闇討ちでもすれば良いのによ
肩を竦めたサイファーの隣で、同じようにキスティスとゼルが敵を倒していた

「今の君じゃないよね?」
閉じこめられて居た部屋の扉が突然爆発して、開いた扉からムンバが1人を顔を覗かせた
警戒しながら出た部屋の外は、大騒ぎして集まってきたガルバディア兵の姿しか見えない
「誰でも良いもんよ」
ムンバの顔を覗きこむセルフィーに、雷神が返事をする
雷神の隣には風神が並んで、戦闘態勢に入ってる
見張りの兵の1人や2人には負けないと思うけど
「素手は厳しいなぁ〜」
取り上げられたらしい武器は手元に無い
無いモノは仕方無いしなぁ
拳を握るセルフィーの袖をムンバが引っ張る
「ん?」
一生懸命に袖を引っ張りながら、ムンバは自分の足下を指差している
「……あーーっっ」
そこに転がっているのは、確かに自分達の武器
「それあたしのっ」
「何?」
「ま、待て……」
セルフィの声に注目し、その場の全員が武器の存在を確認する
手に馴染んだ愛用の武器が握られる
気がつけば、風神もいつのまにか自分の武器を拾い上げていた
「覚悟」
「やっちゃうよ」
セルフィは、風神と一緒に大きく一歩踏み出す
ガルバディア兵が引きつった顔で少しだけ後ろに後退する
「ちょっと待つもんよ……」
戦闘態勢に入ったセルフィ達の背後で雷神が慌てて武器を拾っていた

建物の中を迷走してようやく最上階に辿りついた
ついたは良いが、最上階らしく地面より遙かに高い位置に通路が開けてやがる
下も上も出口は無いっていうのか?
「サイファ!」
視線を走らせた建物の向こう、雷神と風神の姿が見える
「はんちょ〜」
……飛び上がりながら手を振るセルフィとガルバディアの優男も居るな
「行きましょう」
言うが早いか返事も待たずにキスティスは橋を渡りだす
何だって、ガルバディアの奴がいやがるんだ?
サイファーが内心首をひねりながら足を踏み出す。
………?
微かに感じる違和感に、地面へと視線を投げる
先ほどと、視界が変わっている。
目を見張る間にも地面が近づいてくる
「走れっ!」
橋を渡りきるのとほぼ同時に、鈍い衝撃と共に建物が地面へと潜りこんだ
 
 

 To be continued
 
Next