「ふぅーん、だけどね………」 隣で夢中になって話しているのは、いるはずのない部外者 作戦失敗を受けてガーデンに逃げ込んできたってのは、まぁ結果的に作戦に失敗した俺が口を出す事じゃねぇだろう だが、ガーデンに入り込んだ結果この状況に巻き込まれたってのには、文句を言う権利はねぇだろう 目的だったガルバディアの大統領は、既に居ない まぁ、代わりに魔女が出てきたが、そっちは問題ないだろう ま、魔女からも目を付けられたとしてもそれに関しちゃ契約の範囲に入っていない 俺は騒ぎ立てるリノアの言葉を大して聞いてはいなかった だいたい文句なら、シドの野郎に言えば良い バカ丁寧にわびの言葉の一つでもかけてくれるんじゃねーか? もっとも、それ以上の対応は期待できねえだろうがな 「サイファー!」 苛立った様子で耳元で叫ぶ 「うるせえ!」 反射的に怒鳴り返すと、一瞬黙り込んで、次の瞬間ものすごい勢いでまくし立ててきやがった 返事をしないのが悪いとか、聞いていないのが悪いとか ………面倒だ 騒ぐ声に耳を閉ざしながら、シドの姿を探す 事情の説明も、今後の対応も、彼奴の仕事だ 幾ら知り合いだからと言って、勝手にどうにかしてやれる訳じゃない 「おい、シドを見なかったか?」 人の顔を見て、慌てて逃げ出そうとする失礼な奴を掴まえる 「学園長?、いや俺は見てねぇぜ」 飽きることなく一人話し続けるリノアを連れたまま、幾人かに同じようにシドの行方を聞くが、誰も知らないという 此処までしらねぇとなると、学園長室に籠もってるか? だが、あそこに部外者を連れて行く訳にはいかねぇ 「それでサイファー、今どこに向かってるの?」 …………… 目の前に回り込んで来たリノアが人の顔を覗き込んで唐突に聞く 何処に向かってる、ねぇ 「シドの野郎に聞け」 波の向くままの移動先なんか知るはずもねぇが、いい加減誰かが地図と照らし合わせて調べてるんじゃねーか? 「それじゃあ、シドさんにあわせてくれる?」 「さっきから探してるだろーが」 リノアがついてこなけりゃ、直ぐにでも引きずって来てやるけどな 誰かに連れてこさせるか 手頃な奴を捜そうと辺りを見回すと、丁度歩いてくるキスティスの姿が見えた ……丁度良いな 「おい、キスティス」 サイファーの呼びかけに、キスティスが足早に近づいてきた 「そうね、巻き込まれたのは不運だったわね」
To be continued
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