虚実
きりだしたスコールの名前に微かに見せた反応
「懐かしいですね、彼がどうかしましたか?」
目を細め、昔を懐かしむ様な反応に、気持ちが引き締まる
幾度かのやり取りで、気が付いた事実
こんな反応をする時は要注意
何か隠そうとしている事がある
何かを誤魔化そうとしている印
その後に続いた会話は予測通り
今現在のスコールの居場所
スコールは何処に行ったのか……
問いかけはいつもの調子で交わされる
次第に険悪になっていく空気
何度も繰り返される不毛な会話にため息が零れる
そして、ようやく
「あんたには言っていなかったが、スコールに会ったぜ」
態度が変わったのはサイファーが何気なく漏らした一言
「なんですって!?」
シドの顔色が目に見えて変わった
信じていた事が崩れ去る時
信頼していた相手を否定しなければならない時
不審を抱き、偽りを見つけてしまったら
どんな態度を取ればいいのだろう
―――どんな態度をとったのだろう
辺りに満ちたのは静寂
強引に聞き出したのは、過去の出来事
私を含め、たぶん私達は言葉を失った
私達が知ったのは、今にも続いていた酷い現実
よく考えて見れば解る事だった
彼が何気なく口にした幾つかの言葉
考える材料は、幾つか提示されていた
エルオーネの事を知ったのはほんの少し前
考える時間がなかったのかも知れない
けれど考えなければならなかった事
考えるべきだった事
この場所に居たエルオーネ
ずっと、イデアのSeeD達と共に居たという言葉………
彼女がいた場所は、ママ先生の所
その事を学園長が知らずにいた筈はない
きっと、その居場所の事も………
もし私がその立場で
そして、真実を知ったなら
何を思うのだろう
そして、どうするだろう………
エルオーネは、何を思ったのだろう
「それで、スコールは何処に居るんだ?」
強張った声が改めてシドへ問いかける
シドが躊躇うような沈黙を見せる
「何処だっていってんだよ」
重ねた怒鳴り声に、身体を竦め
「……エスタです」
小さな声が地名を告げた
To be continued
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