「まだそんな時期では無い筈なのに………」 「兆候は全く有りませんでした」 騒然とした施設内に人々の声が聞こえる おじさん達と共に地上へ戻ろうとしたその時、絶妙なタイミングで聞こえてきた音と声 何度も聞こえる言葉から、“月の涙”が発生した事だけは解った 動揺する人々に指示を出して……… 「スコール、エルと一緒に先に戻ってろ」 厳しい顔でおじさんが言った ―――胸騒ぎがする 「………任せた」 一言だけ掛けた言葉の先にいるのは、キロスかウォード いつか、見たことのある光景 あの時と、ずっと昔と似ている 助け出されて、一人だけ安全な場所に帰されて、それから……… 「………解った」 引き止めようとした私の耳に聞こえてきた声 そして、私の肩に触れた大きな手 「彼奴等と一緒に直ぐに戻るからよ、エスタの事は頼んだぜ」 施設の職員達が、混乱する事もなく黙々と避難準備を進めている 扉が開いて、閉じる 彼等の元へと急ぐおじさんとキロスの姿 肩に触れた手が宥める様に優しく力が入る 「準備はしていたから、心配要らない」 ちよっとだけ強張ったスコールの声 「………そうね………」 あの時と今は違う 私の傍にはスコールが居て、ウォードが居る おじさんは戦いに行くんじゃないし……… 大丈夫、きっと大丈夫 また離ればなれになるなんて事は無い ウォードの手が誘うように動きを変える 「行こうか」 また直ぐに会えるから、これ以上心配掛ける前に危険なこの場所から3人で一緒に 近づいてくるモンスターの大群 それが宇宙での最後の記憶 次々と上がってくる報告
To be continued
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